2021年2月21日 四旬節第1主日 B年
(創世記9・8-15)、(Ⅰペトロ3・18-22)、(マルコ1・12-15)
ノアの箱舟と洗礼
第一朗読では、箱舟に乗り込んで洪水から救われたノアの家族のことが語られ、福音では、主が公生活に入られたとき、最初に言われた言葉が述べられています。すなわち、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい。」この御言葉と第一朗読との繋がりは次のとおりです。洪水のとき、箱舟に入った人々だけが救われたように、悔い改めて福音を信じ、洗礼を受ける人々だけが救われます。
箱舟に入っていて助かったノアとその家族について、聖ペトロは今日の第二朗読で言います。「この箱舟に乗り込んだノアとその家族だけが救われました。」この箇所を引用しながら、カトリック教会のカテキズムは断言します、「ノアの箱舟は洗礼の前表だった」と(No.1219)。つまり、箱舟に乗り込んだ人々だけが洪水から救われたように、福音を信じて洗礼を受ける人々だけが救われるのです。
この結論について、もう少し考えましょう。主は公生活の初めに言われました。「①時は満ち、②神の国は近づいた。③悔い改めて福音を信じなさい。」これは、救い主が約二千年前から世の終わりまでの全ての人に語りかけられる根本的なメッセージです。①神の独り子が人となり公生活に入ることによって、父である神が救いのために計画しておられた時は満ちた。②神の国はあなたがたの所に来ている。③だから、悔い改めて、つまり、福音を信じて、神の国に入りなさい。〔「悔い改めなさい」とは、「福音を信じなさい」という意味〕
そして主は、約三年間の公生活を通して、救いに必要な全てを整えてくだいました。十字架上で命を献げて人類の罪を贖い、御父の右の座に着いて、真理と愛の霊であり、神の命である聖霊を注がれました。こうして、神が準備してくださる救いのお膳立ては完全に整いました。後は、私達一人ひとりが福音を信じて洗礼を受け、神の子にふさわしい良心、正しい良心(Ⅰペトロ3・21参照)をもって恵みに協力しつつ生きることです。そうするとき、主は喜んで私達を救って下さいます。
以上の全てを要約して、主は昇天の直前に使徒達に言われました。「私は天と地の一切の権能を授かっている。だから、あなたがたは行って、全ての民を私の弟子にしなさい。〔全ての民をわたしの弟子にするとは、次の①と②をすること〕。①彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け〔つまり彼らを父と子と聖霊の命の中に沈めて、神の子とし〕、②あなたがたに命じておいたことを全て守るように教えなさい。私は世の終りまで、いつもあなた方と共にいる。」(マタイ28・19-20)。
天の父よ、神の子とされている私達が、愛の実践を伴う信仰と福音の忠実な順守とをもって生き抜く恵みをお与えください。