2022年5月22日 復活節第6主日
(使徒15・1-29)、(黙示録21・10-23)、(ヨハネ14・23-29)
主キリストを愛して、その言葉を守る人
今日の御言葉は、最後の晩餐の席に着いていた弟子達にとって、慰めに満ちた約束でした。そのために先ず一つのことを思い起こしましょう。それは、主と弟子達との別れが迫っていたということです。これについて、最後の晩餐の冒頭で、ヨハネは書きます。「この世から父のもとへ移る御自分の時が来たことを悟り、世にいる弟子達を愛して、この上なく愛し抜かれた」(ヨハネ13・1)。弟子達もこれが『別れの食事だ』、文字通り『最後の晩餐だ』ということをはっきりと悟っていたのです。
自分達の希望の全てをキリストに懸けていたのに、その主がこの世を去っていかれる……。後に残される自分達はどうなるのか……。それで、弟子達は悲嘆に暮れていました。弟子達の悲しみを知って、主は言われました。「私を愛しているなら、私が父のもとに行くのを喜んでくれるはずだ。」この言葉について、聖書学者は言います。「これは、文法的に言うと、現在の事実に反する仮定を示す条件文だ」と。つまり、「私を愛しているなら、私が父のもとに行くのを喜んでくれるはずであるのに、実際には喜ぶどころか、悲嘆に暮れている。」
このように悲しんでいる弟子達を慰めて力づけるために、主は三つの重要な約束を与えられます。
第一 主を愛する人がいれば、父と子は彼のところに行き、一緒に住む。
第二 聖霊もその人のところに行って、御父と御子と共に住み、全てのことを教え、主が話されたことを悉く思い起こさせて下さる。
第三 主はその人に平和をお与えになる。つまり、罪によって神に敵対していた私達を神と和解させて神の子とし、真の幸福の充満のうちに神の家族として永遠に生きさせられる。
第一について、主は言われました。「私を愛する人は、私の言葉を守る。私の父はその人を愛され、父と私とはその人のところに行き、一緒に住む。」つまり、私達が主を愛して、その言葉を守るなら、復活して永遠に生きておられる主が、御父と共に来て、私達の心に住んで下さるのです! 何という偉大な恵みでしょうか。さらに御父と御子の霊である聖霊も。
第二について、主は言われました。「弁護者、即ち、父が私の名によってお遣わしになる聖霊が、あなたがたに全てのことを教え、私が話したことをことごとく思い起こさせて下さる。」
第三について、主は言われました。「私は平和をあなたがたに残し、私の平和を与える。私が与える平和は、この世が決して与えることのできないものである(エルサレムバイブルに基づく訳)。心を騒がせるな。おびえるな。」
最後に、この三つの約束がいつ実現するかということについて言われました。「事が起こったとき、即ち、私の過ぎ越しと聖霊降臨が実現したとき、あなたがたが信じるようにと、今その事の起こる前に話しておく。」
天の父よ、あなたは御子や聖霊をとおして語られたことを必ず実現されます。この約束を実現し続けて下さることを感謝します。私達が御子を愛して、そのお言葉を守れるよう、お助け下さい。