(創世記2・7-9、3・1-7)、(ローマ5・12-19)、(マタイ4・1-11)
今日の三つの聖書の箇所から、不従順が滅びをもたらし、従順が永遠の命をもたらすことを心に銘記しましょう。つまり、第一朗読でアダムとエバが犯した原罪 ― 不従順の罪 ― が語られ、第二朗読で、原罪の結果、「全ての人が永遠に滅ぶべき者となったが、キリストの従順によって永遠の命がもたらされた」ということが語られています(ローマ5・17-19)。そして今日の福音で「キリストが徹底的に従順を生き抜こうとされる」ことが暗示されています。
主は人祖に、「園の中央にある善悪の知識の木の実を食べてはいけない。食べると必ず死ぬ」と言われました(創世記2・17)。しかし、アダムとエバは、悪魔の誘惑に同意して、善悪の知識の木の実を取って食べました。
この原罪という罪について、聖フランシスコは、人祖だけでなく、全人類が同じ罪を犯し続けていると、次のように言います。「善の知識の木の実を食べる人とは、自由意志を勝手に自分のものとして、神がその人の中で語ったり行ったりされる善を、自分のものだとうぬぼれて、その善を誇る人です。誇った瞬間にその善が悪の知識の木の実となるのです」と。これが原罪の本質です。聖パウロは、原罪の代わりに不信心という語を用いて、「全人類が不信心の罪に陥っている」と言います(ローマ1・18-32参照)。【注 不信心とは「神を知っていながら、神を神として崇めることも感謝することもせず、虚しい思いにふけり、心が鈍く暗くなっている状態」です。】
このような人類の罪を贖うために、キリストは、「へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした」(フィリピ2・8)。そして、「御自分に従うすべての人に対して、永遠の救いの源となられました」(ヘブライ5・9)。
今日の福音に示される主の言葉を通して、御子が御父を愛するがゆえにどれほど忠実に御父に従い抜く覚悟であったかを、悟ることができますように。以下、悪魔の三つの誘惑に対する、主の三つのお答えです。「人はパンだけで生きるものではない。第一 神の口から出る一つ一つの言葉で生きる。」「第二 あなたの神である主を試してはならない。」「第三 あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ。」
天の父よ、あなたと御子への愛に満ちた従順(ヨハネ14・23)を生きることによってのみ、永遠の救いに入らせて頂けることを悟らせて下さい。