2022年5月29日 主の昇天 C年
(使徒1・1-11)、(エフェソ1・17-23)、(ルカ24・46-53)
救いの歴史における神の働き
主の昇天とその後に続く聖霊降臨とによって、救いの歴史における神の側の準備が完了します。そして聖霊降臨後、救いの歴史は新しい段階に入ります。この段階では、私たち各自が、信仰をもって恵みを受け取り、恵みに協力しながら生きます。この二点を黙想しましょう。
第一 主の昇天と聖霊降臨とによって神の側の準備の完了。
神の側の準備の完了について、主は、復活した日の夜、弟子たちに現れて言われました。「次のように書いてある。『メシアは苦しみを受け、三日目に死者の中から復活する。また、罪の赦しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる』と。エルサレムから始めて、あなたがたはこれらのことの証人となる。私は父が約束されたもの〔聖霊〕をあなたがたに送る。高いところからの力に覆われるまでは、都〔エルサレム〕にとどまっていなさい」(第三朗読)。
第二 聖霊降臨後の救いの歴史の新しい段階。
聖霊降臨直後に、使徒たちは「霊が語らせるままに、色々の国の言葉で、イエス・キリストについて宣べ伝え始めました。それで、人々は皆驚き、とまどい、『いったい、これはどういうことなのか』と互いに言いました」(使徒言行禄2・4-12参照)。そこで、ペトロが使徒たちを代表して語りました。「悔い改めなさい。めいめい、イエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦して頂きなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けます」(使徒言行禄2・38)。こうして聖霊降臨後の新しい段階が始まりました。
聖霊降臨後、誰が≪主の死・復活・罪の赦しを得させる悔い改め≫の三つの主要な証人となるのでしょうか。真に驚くべきことですが、神御自身が主要な証人となって下さるのです! 何故なら、使徒パウロが叫びます。「〔父である〕神はキリストによって世を御自分と和解させ、また、和解のために奉仕する任務を私たちにお授けになりました」と(Ⅱコリント5・18参照)。こう言って、自分はキリストの死と復活を証しする協力者であり、キリストによって神と和解させて頂きなさいと呼びかける使者だと断言します。
使徒たちによる証しは、人間から人間へなされるものなので、水平的な証しだと言われます。これに対して、神が御自分に従う人々にお与えになる聖霊も証しをなさいます(使徒5・32参照)。これは、上から垂直に一人ひとりの心に降るので、垂直的な証しだと言われます。一人ひとりの心の中で、水平的な証しと垂直的な証しが一致する時初めて、人は心から信じることが出来ます。そして、聖霊による証しを戴くために、「神に従う」という心構えが私たちにとって絶対に必要です(カンタラメッサ著、『キリストにおける生活』163-164頁参照)。
このように三位一体の神が、救いのために主導権をもって働き続けて下さっています。この神の働きかけに協力して、使徒たちを始め私たちも、証人となり使者となるよう召されています。この召し出しに応えることができますように!
天の父よ、あなたは御子と聖霊と共に世の終わりまで、私たちの救いのために働き続けて下さいます。この計り知れない慈しみに心からの感謝と愛をもって協力させて頂けますように。