2020年11月8日 年間第32主日A年
(知恵6・12~16)、(Ⅰテサ4・13-18)、(マタイ25・1-13)
賢い乙女たちは灯火と一緒に油の用意をしていました。愚かな乙女たちは灯火だけで油の用意をしていませんでした。結局、賢い乙女たちだけが花婿・花嫁と共に婚宴の席〔神の国の完成〕に入らせて頂き、愚かな乙女たちは入れてもらえませんでした。
この譬えの『乙女たち』と『油』について、ロシアの偉大な聖人、サーロフの聖セラフィンは言います。「乙女たちはキリスト者、油は聖霊の働きである。そして、キリスト者の目的は聖霊の働きを獲得することだ」と。キリスト者は皆、洗礼を受けたときに、聖霊を頂いたのに、なぜ、聖セラフィンは、「キリスト者の目的は聖霊の働きを獲得することだ」と言うのでしょうか。
大勢のキリスト者は自分の心の奥深くに聖霊を“閉じ込めて”、聖霊が働きたくても働けないようにしているのです。その典型的な実例が、幼児洗礼を受け、その後、全然キリスト教的養成を受けずに、無神論的な環境の中で大人になった人々です。このようなキリスト者の中で、聖霊はその心の奥深くに閉じ込められ〔冷凍され〕ていて、働きたくても働くことがおできになりません。だから、東方教会のある修道者が言いました。「私の心の中に温泉がありましたが、長い間、大きな石が出口をふさいでいたので、湧き出ることができませんでした。しかし、ある時、その石が取り除かれたので、それ以後、聖霊という温泉が心の奥底から絶え間なく湧き出ています。」
温泉の出口をふさいでいる大きな石を主が取り除いて下さるためにつまり、聖霊の働きを獲得するために、どうすればよいのでしょうか。バチカンの説教師であるカンタラメッサ師が答えて言われます。「洗礼を受けた人が信仰を生きようと決心する時にのみ、聖霊の働きを獲得することができるのです。つまり、キリスト者が『復活して永遠に生きておられるイエス・キリストは私の主です』と公に宣言し(ローマ10・9)、その主の言葉と模範に倣って生きると決心するとき、その時初めて、聖霊がその御業を行われ、その全ての力が現れるのです」と。そしてその時、「愛の実践を伴う信仰」(ガラテヤ5・6)という『灯火』が『油』という『聖霊の働き』によって明るく燃え続けます。
天の父よ、処女マリアが「私は主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」と答えて、万事においてあなたへの従順を宣言されたとき、聖霊によってあなたの御子を胎内に宿されました。私たちもあなたへの従順を生きると決心することによって、聖霊の力強い働きが私たちの中で実現しますように。